大阪人に「これ安かってん!」と言われたときの答え方のしきたり

大阪人が満足する買い物をしたときに、必ず言う

「これ安かってん!」

の正しい受け答えについて、お知らせいたします。

大阪では、これに続く決まった会話の型があって、その型をはずれた受け答えをすると

「えっ?」

という反応、または微妙な空気が流れることになります。

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例えば、彼氏ができたと親しい人に報告したとき。

「おめでとう」

「よかったね」

「どんな人?」

と必ずと言っていいほど、言われます。

これ、もし仮に

「ふーん」

とだけ返されたら、ショックだと思います。

この弾んだ気持ち、幸せな気持ちをぶちまけようとしていたのに、勢いをそがれて戸惑うと思います。

例えば、受験で志望校に合格したと報告したときも

「おめでとう」

「よかったね」

という反応を無意識のうちに期待しているはず。

これも

「ふーん」

という薄い反応だったら、

「えっ?それだけ?」

と拍子抜けすると思います。

大阪人が、自分が買ったものを指して

「これ安かってん!」

と言ったときにはこれらと同じように、大阪では決まった受け答えが存在しています。

これは

「おはよう」

と言われたら

「おはよう」

と返すというくらい、大阪では決まりきった挨拶のようなもの。

「これ安かってん!」

と言ったときに

「あ、そうなんや」

と返されると、大阪人としては壁と思って手をついたらのれんだった、そして向こうに倒れた、というような感じになります。

または、1人ぼっちにされた、取り残されたようなさみしい気分になります。

こんなとき、大阪人の頭に浮かぶのはただ1つ。

(なんでこの人、値段を聞いてくれへんのやろ?)

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そうです!

大阪人が

「これ安かってん!」

と言ったときには

「ふーん、なんぼ(いくら)やったん?」

と聞くのがお約束。

これは、大阪府の条例に定められていないものの、大阪人でこれを聞かない人はいないというくらいの、信号は守らなくてもこの会話の型はきっちり守という、それくらい重要なお約束です。

もう礼儀とか、挨拶とか通り越して、大阪人にとっては、ごくごく当たり前のこと。

息をするのと同じくらい、当たり前のことなのです。

だから

「これ安かってん!」

と言ったときに、

「いくらやったん?」

と聞いてくれない人がいると、宇宙人に出会ったような気分にもなります。

(わあ!この人、値段を聞きはらへん!)

と驚いてしまうわけです。

一度試しに、大阪人が

「これ安かってん!」

と言ったときに

「あ、そうなんや」

と受け流してみてください。

微妙な空気が流れるはずです。

大阪人に、ぎょっとした顔でしばし見つめられるはずです。

大阪人の頭には

「これ安かってん」

と言ったら、必ず値段を聞いてもらえるという刷り込みがあるので、値段を聞かれないと、普段はするどいぼけつっこみができる大阪人でも、しばしうろたえて、言葉を失います。

そして、正しく

「なんぼやったん?」

と値段を聞けたとしても、そこで安心するのはまだ早い。

あなたが

「なんぼやったん?」

と聞くやいなや、待ってましたとばかりに大阪人は

「なんぼやったと思う?」

と聞いてきます。

ここでも、しくじると大阪人に

(えっ?なんでなん?)

と思われてしまいます。

いえ、なんでなん?と思う大阪人のほうがおかしいのですが、なにしろ大阪ではこの型をはずれるなんてことは考えられないので、対応できなくなってしまうのです。

もう生まれたときから、この会話の型は大阪人に刷り込まれているので、どうしようもありません。

「これ安かってん!」

「なんぼやったん?」

「なんぼやったと思う?」

ときて、値段を答えるときには、よーく考える必要があります。

大阪人が自慢しようとしている品物をよく見て、自分がこのくらいだろうと思う値段を正直に言うか、そこにやさしさを盛り込むならば少し高めの値段を言うと大阪人はより喜びます。

この会話はこの後

「1000円やってん!」

「えーっ!ほんま?安いなあ!1000円には見えへん。3000円くらいに見える」

と、言うのが絶対のお約束。

高く見えるものを安く買った、上手に買い物したことを讃えてあげるのが、大阪でのしきたりです。

だから

「なんぼに見える?」

と聞かれたときには、最後の

「えーっ!ほんま?安いなあ!」

が言えるように、少し高めの値段を言うのがコツ。

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昔、東京に遊びに行ったとき、買い物帰りによったお店で、お店の人とおしゃべりしていたときに、つい大阪にいるときのクセで(そうです。これは大阪人の無意識のクセのようなものです)

「これ安かってん!」

と言ってしまい、東京のお店の人に

「?そうなんだ」

と言われてしまい、肩透かしをくらいました。

あまりにさみしかったので(大阪人はどうしても安くいいものを買えたときには誰かに自慢したい)東京のお店の人に、大阪人の決まった型の会話を教えてあげると

「東京では、自慢したがる嫌なヤツが高いものを買ったときに、値段の高さを自慢することはあるけど、安く買ったって自慢するヤツはいないなあ」

と言われました。

でも、大阪人の悲しい性。

安くいいものが買えたときには、自慢したい。

長々と書いてしまいました。

どうぞ大阪人の生態をご理解のうえ、ご協力くださいませ(笑)