あんまりおもしろくない、ドキュメンタリー映画を見てしまいました。
劇的な人生を送った人のドキュメンタリーでも、おもしろくないものがあるのだと知りました。
その人のどこに、どの部分に、どの業績に、どの性格に、焦点を当てて描くかで、ドキュメンタリーもまったく違ったものになると思います。
先日見たドキュメンタリー映画は、すばらしい業績がある女性についてだったのですが、彼女の業績よりも退廃的な生活のほうに焦点が当てられていて、ちょっと悪意さえも感じられたくらい。
そこまで、彼女を悪く描く必要があったのだろうか。
なんとも見た後、後味の悪い映画でした。
その腹いせで、私が今まで見た中で面白かったドキュメンタリー映画5選!ご紹介します。
だんとつに見てよかったドキュメンタリー映画「ギフト 僕がきみに残せるもの」については、こちらに書きました。

映画「ギフト 僕がきみに残せるもの」については、書きたいことが多くて別に書いてますが、他の映画だっていいんです!
やっぱり作り物じゃなくて、実話ってとこがいい!
実際の人物の生きざまは、人生の先輩としてお手本にしたいです。
私が実際に見て面白かったドキュメンタリー映画5選!
別れた伝説のタンゴダンサーペアの検証「ラスト・タンゴ」
伝説のタンゴダンサー、マリア・ニエベスとフアン・カルロス・コペス。
2人は1940年代のブエノスアイレスで、14歳と17歳という若さで、ダンスホールで出会います。
そしてタンゴダンサーとしてペアを組み、人気実力ともにトップとなります。
プライベートでも愛し合った2人。
その絶頂期にはアメリカのブロードウェイで公演するほどになります。
ですがその絶頂期に2人はすれ違い、訣別。
日本公演の直後にダンスペアーも解消します。
この映画は2人の愛と葛藤、別れの物語です。
2人が出会ってから、別れるまでのストーリーが、それぞれの証言とともに、別の俳優が演じる短い再現ドラマも挿入されます。
そして、長い時を経て、80代となった2人が再会し、もう一度タンゴを踊ります。
この映画の見どころは、別れた男女にありがちな、それぞれの言い分の違い。
そして息をのむような、タンゴのダンスのすばらしさ。
80代となっている2人が、ちっとも枯れてなくて、年を重ねても男と女、というのもカッコよかったです。
個人的には、再会した2人の微妙な表情の違いがツボでした。
ちなみに「ラスト・タンゴ・イン・パリ」とは別映画です。
天才写真家だった乳母「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」
乳母として生涯を終えた女性が、実は天才写真家だったという、「事実は小説より奇なり」そのままのお話。
シカゴでオークションにかけられた、持ち主不明の大量の写真のネガ。
好奇心でそれを競り落として現像してみると、プロのカメラマンもびっくりの腕前。
そこから、このネガの持ち主=写真を撮った人物を探し出すのが、この映画。
探し出されたヴィヴィアン・マイヤー(1926年~2009年)は40年間、住み込みの乳母として働いていた女性で、すでに亡くなっていました。
彼女が仕事の合間に撮りためた写真は15万以上。
現像されずにネガのままのものも多数ありました。
そして彼女は生前に、その写真を1度も公表しませんでした。
彼女の写真の魅力にせまり、また生前の彼女に接した人たちの証言で構成された映画です。
とにかく謎が多い彼女。
この映画は、その謎にせまる、興味深いものとなっています。
死後に発見されたネガで、高い評価を受けていて、書籍、写真集なども出版されています。
「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」
郵便局の仕分け係と図書館の司書という老夫婦が主人公。
彼らは若い時からアートに興味を持っていて、つつましい生活の中で、ローンで数々のアートを購入します。
決して裕福ではない夫婦が買えるのは、無名の芸術家たちの作品。
毎週のようにギャラリー巡りをしていた夫婦は、やがてまだ無名の才能ある芸術家を見分ける目を持つこととなります。
そして夫婦が購入した作品の芸術家たちは軒並み有名となり、夫婦の買いためたコレクションも値段がつりあがります。
ですが、とてつもなく高価な値になった作品も、彼らは手放しません。
アートへの深い愛情と情熱が、こちらにも伝わってきます。
夫婦の狭いアパートメントには、ぎっしりと数々のコレクションが保管されています。
そしてつつましい暮らしを送る小柄な老夫婦が、今や目利きとしてニューヨークのアート界で一目置かれているという、この驚きの展開。
私が、この映画を公開時に劇場に見に行った時、立ち見が出るくらいの人気でした。
そのくらい、おもしろいです。
ちなみに、私は見逃してしまって悔しい思いをしていますが、続編も制作されています。
監督は日本人女性、佐々木芽生監督です。
若くして引退したフラメンコダンサーの復活「ラチャナ」
ロマ(ジプシー)の一族に生まれ、誰に教わるでもなく、フラメンコダンサーとして、生まれながらの才能を開花させたラチャナ。
若くしてその才能が認められ、映画やテレビに出演し、人気を博します。
ダリをも魅了し、ハリウッド映画への誘いもある中で、18歳で結婚。
女は男に従うものというロマの社会の中で、ラチャナは夫の方針により、若くしてフラメンコダンサーを引退します。
その後、夫の暴力などもあり離婚。
無一文となった彼女は、幼い娘を抱えてフラメンコダンサーとして復帰。
現在では、再婚した夫と幸せに暮らすラチャナ。
67歳となった彼女は、今では足を痛め、椅子に座ったまま足を踏み鳴らして踊るのですが、素人が見てもこれがすごい!
山あり谷ありの人生で、老齢となった今のラチャナが、情熱をもって真摯フラメンコに取り組む姿勢と、村で過ごす普段のおだやかな生活とのギャップもいいです。
アマゾンプライムでも見れます。(2019年4月現在の情報です。最新の情報はアマゾンプライムの公式ホームページでご確認ください)
本人が語る過酷な歴史「ヒトラーを欺いた黄色い星」
第二次世界大戦中、ナチスがユダヤ人を迫害していた時に、なんとベルリンに潜伏していたユダヤ人がかなりの数、いました。
ある者は、ドイツ人にかくまってもらい、ある者はドイツ人を装い普通に市民として生活していました。
過酷な状況を生き延びた人たちの証言と、どのように生活していたかの再現ドラマで、緊迫感と緊張感あるふれるストーリーです。
この映画を見て驚くのは、見ず知らずの彼らを助けるドイツ人が、少なくなかったこと。
時には彼らをかくまったことで、自らの命も危険にさらしながら、です。
真剣に生きることの意味を考えさせられれます。
アマゾンプライムでも見れます。(2019年4月現在)
作りごとじゃなく、事実を取り扱っているというのがドキュメンタリー映画の魅力。
実際にそんなことがあったんだ、そういう人がいた(いる)んだという事実は、生きる上での指針、参考にできそうです。
作り物じゃない、事実という重みもいいです。
作られたストーリーの映画で、夢の世界にひたるのも好きです。
でもノンフィクションのいいところは、実際にいた人がしたこと、言ったことに勇気づけられるところ。
実際にこんなことをした人がいるのだから、私も頑張ろう!と思えるところ。
じっくりと深い感動や、驚きに出会えるのがノンフィクションのドキュメンタリー映画のよさだと思います。