「博士と彼女のセオリー」は、理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士と、彼の元奥様ジェーン・ホーキング(Jane Wilde Hawking)についての物語です。
実在の人物の、真実のお話。
理数系がまったくダメで、物理学から遠い世界にいる私でも、ホーキング博士は知っています。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患い、車いすで、声も出せないため人工の音声機でスピーチをしている姿をテレビで見たこともあります。
研究内容はよく知らないけど、宇宙のブラックホールについて、何かすごい研究をした人ということはなんとなく知っています。
そのくらい有名。
でも「博士と彼女のセオリー」を見て、初めて知ったこともたくさんありました。
私はAmazonプライムで見ました。
(2020年3月の時点での情報です。
詳しくは公式サイトでご確認ください)
どうしても同じ女性として、ホーキング博士の元奥様ジェーン・ホーキング(Jane Wilde Hawking)の立場で見てしまいました。
よくぞ結婚したというその勇気と愛の深さ。
そしてよくぞ介護し続けたという尊敬の念。
私なんぞは、家族の食事を作るだけでも、かなりめんどうに思う派。
だからジェーンには、尊敬の念しかありません。
ホーキング博士は、ケンブリッジ大学で学んでいるときに、同じケンブリッジの学生だったジェーンと知り合います。
この知り合ったあたりの2人の会話が、とても興味深かったです。
頭のいい人たちは、こういう会話をしているのか、と(笑)
間違ってもワイドショーネタや、友人の噂話や
「なあ、聞いてえやあ!」
的な話ではありません。
知的な会話って、こういうものかと知りました(笑)
そしてホーキング博士は、ケンブリッジに在学中に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症。
余命2年と宣告されます。
ジェーンはそれを承知のうえで、ホーキング博士と結婚します。
ジェーンが毎週日曜日には教会に通う、熱心なキリスト教徒であることも影響したかもしれませんが、それにしてもよく決断したと思います。
ジェーンは躊躇するどころか、身を引こうとするホーキンズ博士のもとに飛び込むのですから。
そしてその後の、ジェーンの献身的な介護もすごい!
自身は論文を書く時間もなく、自己犠牲のたまものといった感じ。
同じく筋萎縮性側索硬化症(ALS)になったアメフト選手のドキュメンタリー、「ギフト 僕がきみに残せるもの」を見ましたが、介護する奥さんの負担は、たぶん見ている以上なんだろうなあと思います。
「ギフト 僕がきみに残せるもの」についてはこちらに書きました。

(※「ギフト 僕がきみに残せるもの」もAmazonプライムで見ました)
ホーキンズ博士は、余命2年と宣告されるも、その後病状が変化していって結局76歳まで生きておられました。
でも途中で「ギフト 僕がきみに残せるもの」と同じく、気管切開で声を失います。
「ギフト 僕がきみに残せるもの」で知ったのですが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者で気管切開を希望する患者は95%なのだとか!
気管切開をすると、その後の呼吸器の維持費や介護がかなりの負担になるらしいです。
ちょっとショックでした。
ジェーンとホーキング博士は、子供ももうけて幸せな結婚生活を送りますが、結局離婚します。
でもこれ、見ていると、ホーキング博士がジェーンを思いやって、自分の介護から解放してジェーンの幸せを願ってのことのようにも思えます。
ジェーンのほうでも、ホーキング博士をせいいっぱい愛したし、献身的に介護もしたから、うしろめたさもないように見えました。
ホーキング博士のかたわらには、優秀な新しい介護の女性もいました。
「すべてうまくいくよ」と言うホーキング博士と、「あなたを愛したわ」「最善をつくしたのよ」とと言うジェーン。
すがすがしい別れ方だし、とても相手を思いやり、大切に思いあっている感じのシーンでした。
こんなあたたかい別れを見たのは、初めてかも。
ホーキング博士がジェーンを大切に思っていたのは、映画の終盤、名誉勲位受賞のためにエリザベス女王に接見するホーキング博士にジェーンが付き添っていたのからもわかります。
そういう名誉な場にジェーンを呼ぶというのは、ホーキング博士がジェーンを大切に思っている証のように思います。
最後に、ジェーンとホーキング博士が、庭でじゃれあう自分たちの子供を眺めるシーン。
映画としてもいい映画ですが、物理学の世界だけでなく、人間として、家庭人としても偉業をなしとげたホーキング博士に、どれだけ賛辞を贈っても送り足りない気持ちです。
ジェーンとホーキンズ博士って、究極の愛って感じがします。
もしかしたら自分のことより、相手のことのほうを大切に思っていたんじゃないか。
ホーキング博士も、介護の女性と再婚するとみせかけて、実はジェーンを自由にしてあげようと想ったんじゃないか、とも思いました。
究極の愛。
私には無理かも。
いや、どうだろう。。。。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)でつらい、苦しい思いもしたけれど、ジェーンとホーキング博士の人生は、美しい、みのりあるものだったと思います。
はっと我にかえると、アラフィフともなった私の人生、これでいいのか。
ホーキング博士とジェーンほどの偉業は無理だとしても、こんなんでいいのか(笑)
とりあえず、いいことにしておきます。
(根性なしだから)
U-NEXTでも見ることができるようです。
(しつこいようですが2020年3月の時点での情報です。
詳しくは公式サイトでご確認ください)